化学でつまづくところといえば「mol(モル)」ではないでしょうか。今回は、このモルとはいったい何なのかと、モルにからんだ基本的な計算問題の解き方を紹介します。
mol(モル)は物質量の単位
モルは国際単位系(SI)の物質量の単位でで、SI基本単位のひとつです。モルの定義は、「0.012キログラムの炭素12の中に存在する原子の数と等しい構成要素を含む系の物質量」とされています。
国際単位系という、謎フレーズが出てきていますが、国際単位系というのは、メートル法の後継として国際的に決められた単位系で、その略称は「SI」です。SI基本単位には、モル以外にこんなものがあります。
- 長さ:メートル
- 真空中で1秒の299,792,458分の1の時間に光が進む行程の長さ
- 質量:キログラム
- 国際キログラム原器の質量
- 時間:秒
- セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の9,192,631,770倍に等しい時間
- 電流:アンペア
- 真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の1メートルにつき千万分の2ニュートンの力を及ぼし合う直流の電流
- 温度:ケルビン
- 水の三重点の熱力学温度の273.16分の1
- 光度:カンデラ
- 放射強度683分の1ワット毎ステラジアンで540テラヘルツの単色光を放射する光源のその放射の方向における光度
こうやって、見てみると、やはりモルだけいまいちピンとこないカンジがしますね。
箸は1膳、物質は1モル
モルは単位なので、箸なら、1膳2膳・・・と数えるように、物質は1モル2モル・・・と数えます。ポイントは、箸は2本で1膳だということですね。同じように、物質は6.0×10の23乗個で1モルになります。たぶん、ここが「ん?」と思うところかもしれませんね。
例えば、鉛筆が12本あると、それは1ダースの鉛筆ですね。同じく、60秒は1分ですね。こんなふうに、あるまとまりができると、単位が変わることって、実はけっこうありますよね。モルもその中のひとつなんです。ただ、そのまとまりの数が莫大過ぎてイメージできないのがピンとこない理由かもしれません。
モルに関する計算問題
モルに関する計算問題のパターンは、だいたい次の3つです。
- モル – グラム(質量)
- モル – 個(個数)
- モル – リットル(体積)
この3パターンに分けられます。その中で、「モル – グラム」であれば、モル→グラムとグラム→モルの2パターンがあるので、全部で6パターンになります。ということで、その6パターンをかいつまんで紹介します。
モル→グラム(質量)
モルからグラム(質量)を求めるには、分子量をかけます。(掛け算の順番は気にしてませんw)
【問題】
2molのCO2は、何gか?ただし、CO2の分子量は44とする。
【答え】
2 x 44 = 88〔g〕
グラム(質量)→モル
グラム(質量)からモルを求めるには、分子量で割ります。
【問題】
H2O 54gは何molか?ただし、H2Oの分子量は18とする。
【答え】
54 ÷ 18 = 3〔mol〕
モル→リットル(体積)
モルからリットル(体積)を求めるには、22.4をかける。どんな気体でも1モルは22.4リットル。
【問題】
H2 2molは何Lか?
【答え】
2 x 22.4 = 44.8〔L〕
リットル(体積)→モル
リットル(体積)からモルを求めるには、22.4で割る。どんな気体でも1モルは22.4リットル。
【問題】
O2 33.6Lは何molか?
【答え】
33.6 ÷ 22.4 = 1.5〔mol〕
モル→個(個数)
モルから個(個数)を求めるには、6.0×10の23乗をかける。どんな物質でも同じ。
【問題】
H2 1molは何個か?
【答え】
1 x 6.0×10の23乗 = 6.0×10の23乗〔個〕
個(個数)→モル
個(個数)からモルを求めるには、6.0×10の23乗で割る。どんな物質でも同じ。
【問題】
CO2 1.2×10の24乗は何molか?
【答え】
1.2×1024乗 ÷ 6.0×10の23乗 = 2〔mol〕
まとめ
というように、モルから何かを求めるときは「かける」、何かからモルを求めるときは「割る」計算をします。とはいえ、この「かける・わる」を暗記するんではなく、モルっていう単位がどういうもんなのかを覚えると、計算方法もきっちりわかるようになります。