この記事内の書式・金額等は公開時(2014年)のものであり、現時点では変更になっている場合がありますので、お近くの税務署でご確認ください。
なお、内容の大筋は変わっておりませんので、確定申告をすることでほとんどの方はアルバイト代の税金(所得税)を取り戻せます!
またしても確定申告シリーズです。今回は、個人事業主の方ではなく、日々アルバイトに精進しすぎて単位が危うくなることもあったかもしれない学生のみなさん向けです。
アルバイトの学生でもほとんどの人が源泉徴収されている
アルバイトとはいえ、給料をもらう際にはほとんどの人が源泉徴収されています。例え、高校生であろうと、主婦であろうと源泉徴収されています。源泉徴収というのは、予め所得税を差し引いてアルバイト代を渡しているということです。
ですので、確定申告(還付申告)をすることで、払いすぎていた、というか本来は払う必要のなかった所得税が返ってくることになります。
そして、サラリーマンの場合は、会社が年末調整をしてくれるため、払いすぎていた分は戻ってきます。しかし、アルバイトの年末調整は必須ではないので、やってくれない会社がほとんどだと思います。
さらに、税金についての教育なんてほぼ皆無の日本ですから、高校生・大学生をはじめ多くのアルバイトのみなさんの所得税は払いっぱなしになっているということです。
もちろん税務署が税金納めすぎですよーなんて親切に通知してくれるはずもありません。還付申告は完全な自己申告制なんです。でも、払っていない分については張り切って通知してきます。
掛け持ちでアルバイトやっている人は確定申告が吉です!
アルバイトの人の分も年末調整をしてくれる会社はありますが、年末調整は1つのところでしかできません。なので、掛け持ちでアルバイトをしている場合は、確定申告をすることでほぼ確実に払いすぎた税金が戻ってきます。
というか、確定申告しないと払いすぎた所得税は戻ってきません。
年末調整してあるのか?という方は
自分の分を会社が年末調整してくれるかよくわからない、という方もいるかと思います。年末調整してくれるかどうかは、けっこうカンタンにわかります。
この扶養控除申告書を会社に提出していれば、年末調整してくれます。ただし、この扶養控除申告書は1ヶ所にしか提出できないので注意してください。これが、アルバイト掛け持ちの人は会社が年末調整してくれない理由です。してくれないっていうか、できないんです。
給与明細・源泉徴収票を確認
アルバイト代が月払いの場合、通常はどんなにアルバイト代が安かろうと5%が所得税として源泉徴収されています。ただし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をアルバイト先に提出していると、月給87,000円未満なら源泉徴収されません。また、アルバイト代が日払いで契約期間が2ヶ月以内の短期のアルバイトの場合、日額9,300円までは源泉徴収されません。
実際に、自分のアルバイト代からいくら源泉徴収されているかは、給与明細を確認してみてください。
また、年明けくらいに源泉徴収票をアルバイト先でもらうと思います。こんなのです。
※マイナンバー導入後は様式が変更されています。
ここに、支払金額・源泉徴収税額がのっていますので自分の年収・源泉徴収で納めた額がわかります。
もし、アルバイト先から源泉徴収票をもらっていない場合は、必ずもらいましょう。また、複数のアルバイトを掛け持ちしている方は、すべてのところから源泉徴収票をもらってください。でないと、確定申告をする段階で困ります。
確定申告でいくら税金が返ってくるかは、年収次第
源泉徴収された所得税は、年収によっては、確定申告(還付申告)をすることで返ってきます。大手チェーン店などでアルバイトをしたことがある方は、年末になると突然シフトが減る主婦の方とかいませんでしたか?あれば、まさに自分の年収を調整するためにシフトを減らしているんです。
年収103万円と130万円という数字はなんとなく聞いたことがある方もいらっしゃると思います。では、この103万円と130万円でどのように税金が変わるのか、紹介します。
年収103万円の壁
まず、年収103万円の壁ですが、この数字は、納税者ならだれでも受けることができる基礎控除38万円と、給与所得者が受ることができる給与所得控除65万円を足した数字です。つまり、この基礎控除と給与所得控除はアルバイト代(給与)をもらうと自動的についてくる控除なのです。
また、年収103万円以下であれば、扶養家族(ほとんどの場合「父」の扶養家族)になりますので、家族の方が払う税金も安くなります。
目安としては、月収で85,000円以下であれば大丈夫です。
年収130万円の壁
もうひとつ、年収130万円の壁というものもあります。これは、勤労学生控除の対象になるかならないかの壁です。
勤労学生控除とは、「学生で合計所得金額が65万円以下で、しかも勤労に基づく所得(給与所得)以外の所得が10万円以下であること」が条件で、27万円控除を受けることができます。なかなかわかりにくい条件ですが、給与所得だけの学生の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となるので控除を受けられます。
そして、学生といっても、次のどれかに当てはまると大丈夫です。
- 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
- 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
- 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
しかし、103万円を超える場合は扶養家族ではなくなるため、家族の方が払う税金は少し多くなります。また、年収130万円の目安は月収108,000円以下です。
年収130万円を超えた場合
年収130万円を超えてしまった学生のみなさんは、扶養家族でもなくなり、勤労学生控除も受けられなくなるので、所得税を納める必要があります。といっても、基本的には源泉徴収されているので、追加で所得税を納めることはほぼありません。
まとめると
年収と扶養とか税金の関係はこういうことです。
~103万円 | 103~130万円 | 130万円~ | |
---|---|---|---|
税金 | 0円 | 0円 | かかる!! |
親の扶養に入る | OK | 無理!! | 無理!! |
確定申告して所得税を返してもらう
やっと本題です。アルバイトをしている学生で所得税が返ってくる場合は、次の2つをクリアしていることが大前提になります。
- 源泉徴収されている
- 年収が130万円以下
まず、源泉徴収されていないことには、返ってくるはずもありません。そして、年収130万円を超える場合には、所得税を納めなければなりませんので、あまり期待しないでください。とはいえ、国民年金を払っていたりすると、それも控除対象になるので、返ってくる場合もあるかもしれません。が、ここでは割愛します。
確定申告に必要なもの
確定申告ってすごく大変そうと思うかもしれません。でも、税務署に行けば、確定申告(還付申告)のやり方を丁寧に教えてくれます。その際に必要なものは、
- 源泉徴収票
- 判子(シャチハタは不可)
- 自分の口座番号がわかるもの(通帳を持っていけばまちがいなし)
です。
これらを持って、税務署に行けば、あとは、言われたとおりに書類を作成して完了です。そして、還付申告のいいところは、いつ申告に行っても構わないというところです。巷でよく見かける3月15日までというのは、税金を払うほうの方の期限なんです。ですので、2月15日~3月15日の忙しい期間を外せば、税務署はいつも以上に丁寧に教えてくれます。
還付申告は過去5年分までできます
この記事を見て、「マジで???昔のバイト代から引かれた税金、取り返してない…」という方も、過去5年分は取り返せます。ただ、注意点は、5年分とはいえ、例えば2020年の1月に還付申告できるのは、2015~2019年分だということです。税金を払うほうの確定申告は、年が明けてからなんですが、還付は年内にやらないといけないところに注意してください。
これまで1回も還付申告やったことない方は、2020年内に還付申告すると2015年の分まで戻ってきます!
2021年になってしまうと1年分取り戻せなくなります。
書類の作成はオンラインで
確定申告の書類って、難しそう・めんどくさそうですよね。でも、今はとても便利な時代になりました。無料で利用できるソフトがいくつもあります。操作感の好みは人それぞれですので、まずはいろいろ試してみるのをおススメします!
まずは、「やよいの白色申告オンライン」と「freee」の2大有名どころを使ってみるのがいいんでないでしょうか?
個人的には「freee」がおススメです
個人的なおススメは、「freee」です!
というのも、freeeのサイトには、確定申告について1から100まで解説してあるページがあるんです!
わたしが初めて確定申告したときには、たしかこのページがまだなく、他のいろいろなページを行ったり来たりしながら確定申告について、必死に調べましたw それが、今となっては、こんなに丁寧にまとめてあるページがあるなんて、すごいの一言です。
freeeは、最初の1ヶ月は無料で使えますので、確定申告・還付申告が必要なときに登録して、無料期間中で書類を完成させてしまうことも可能です!