アニメなんて…と侮っていたら、ハマりました。2010年に亡くなった今 敏監督の「千年女優」という作品なんです。
千年女優とは?
この千年女優を見たことがない方もきっといるでしょうから、YouTubeにあった千年女優のPVをまずどうぞ。
とにかく走って走って走りまくってますね。そうです、このPVではストーリーがわからないと思います。なので、今 敏監督のオフィシャルサイトにストーリーがありましたので、引用させて頂きます。
かつて一世を風靡した女優の語る一代記……のはずが、その思い出はいつの間にか彼女が出演した映画のエピソードと渾然一体となり、彼女の話を聞くインタビューアー二人を巻き込んでの波瀾万丈の物語になって行く。
関東大震災と共に生まれたその人、藤原千代子。
千代子の話は戦争の足音が近づく帝都東京から始まり、満州に舞台を移したかと思うと、あろうことか、はるか戦国時代に時を移し、彼女は燃える城で姫君に 姿を変えたかと思いきや、はたまた江戸時代のくの一に扮して侍相手に大立ち回りを演じ、ときに幕末の遊女に身をやつしては上の太夫にいじめられ、町娘に姿 を変えて幕末の京都をひた走れば新撰組に脅され、明治の牢獄で官憲にいたぶられながらも必至に耐えた彼女が、やっとの思いで獄舎を抜け出したその先は昭和 の大空襲……。
彼女は映画という虚構と現実の間を自由に行き来しながら、時間と空間を越えて行く。
その千代子の想いはただ一つ。
初恋の殿方に一目会たい。その男は絵描きであった。
戦前、官憲に追われて怪我をしていたところを千代子が家の蔵にかくまったのがすべての始まり。彼に初恋とも呼べぬほどの淡い思いをいだく千代子だったが、軍国主義が二人の間を引き裂く。
遂げられぬ再会の約束と残された大切な彼の人の「鍵」を携え、様々な時代の中で戦国の武将、幕府に捕まった罪人や尊皇攘夷の志士へと姿を変える「愛しの君」を追って千代子はどこまででも走って行く。そして彼女が走った道のりの分だけ、彼の人への想いも深まって行く。
千代子の行く手には「愛しの君」を捕らえようとする官憲の男や彼女を目の敵にする女優が、やはり時代に応じた姿で手を変え品を変えて立ちはだかる。
そんな千代子の昔語りに翻弄される二人のインタビューアー。
二人は彼女の回想に入り込み、ときに彼女に置き去りにされながらも、彼女の後を追って共に時代の旅をする。
彼女のファンである初老の男、立花源也は目の前で繰り広げられる映画の名シーンに大いに感激、思わずその役柄になりきり、ときに戦国武将、あるいは股旅 者に姿を変えては彼女の危機を救いに現れる。かたや白け気味のカメラマン井田恭二は呆れながらも彼女の壮大なホラ話に引き込まれ、不平ばかりを口にしつつ も否応なく壮大な時の冒険へと連れて行かれる。時代を超え、あたかも千年の間、愛しの君を追ってひたすら走り続ける千代子。
やっとの思いで辿り着いた未来の月面で果たして彼女が見るものは……?
というカンジのストーリーです。
千年女優の感想をちょっとだけ
ここからは、若干のネタバレが入りますのであらかじめご了承ください。
現実と回想、回想の中の映画と現実が交錯しながらハナシが進んでくわけですが、Web上にたくさんある「つまんねー」「駄作だ」という評価をする人は、この段階でつまづいていると思うんです。
「なんで源也が武将になったりすんだよ!」そうですね。たしかに、そうです。源也は映画にはでていません。
「カメラ持ってるやつがいんのもおかしいじゃん」そうですね。まったくもってそうです。映画のなかでカメラが見切れたら最悪ですね。
でも、千代子の話はそのくらい饒舌で、源也も千代子については膨大な知識をもっている。その2人の話がもりあがったら、カメラをまわしている井田もその世界に引き込まれて当然だと思うんです。だから、源也が詳しく知らない千代子の回想シーンでは、源也と井田は電柱の影から見守ってる。元警官から情報を聞いた後もしかり。
そして、もっともダメダシをくらっているであろう最後のセリフ。「だってあたし、あの人を追いかけてるあたしが好きなんだもの」このセリフは個人的にはすんなり受け取れましたし、最後の宇宙に飛び出すシーンだって、すごく納得。だって千代子はいつまでも「あの人」を追いかけたいんだし。千代子にとっての死は、「死 = end」じゃなくて、「死 = start」なんだと。
というカンジで、とりとめもなくあっち行ったりこっち行ったりしましたが、要するに「千年女優」好きだってことです。